研究室(10)予想サーマルトップ

 サーマルトップが雲底高度に等しいとは必ずしもいえないけれど、地表の空気が暖められ、断熱上昇して凝結し雲になる高度があればとりあえずそれがサーマルトップと算定しても良いだろう。
実際には予想される上昇気流の高度が雲底高度より低いこともあり、そんな日はブルー・スカイになるはずだ。だが発生する確率を小さいものとすれば、雲底高度がサーマルトップと想定して算定しても大して間違いはない。雲底高度は

     雲底高度(LCL)≒125×(気温 - 露点) (m)

であった。算定の結果誤差を考えて修正をすると、

     サーマルトップ≒100×(気温 - 露点) (m)

が比較的良い結果になる。25%低く見積もることになるが、報告されたサーマルトップでの修正だから、操縦誤差も含まれていると考えてよい。報告者のレベルを考えると、クラブの平均的力量よりは高い数値だと思っておく必要がある。
さて問題は気温と露点をどう予想するかである。日によって気温も露点も千変万化する。それをおおむね予想するのだから、当たりハズレがあって当然ということになる。

図の60%というのは、0~60%のことである。したがって予想サーマルトップの精度が0~60%であったことは15%ということである。61~80%の精度のものが23%あった。
81%以上を当たったと考えると、当たる確率は62%ということになる。はたして満足できるかどうかは考え方次第だ。ただこの確率は自動的な計算だけであり、データを読む判断は入っていない。すなわち精度を上げる余地は十分にあっての数値である。
たとえば2003.04.27の数値予測は12:00で1,200m、14:00で1,300mであった。しかし報告されたトップは800m、予測の62%である。気圧配置は高気圧の前面ではあったが南岸沖には前線が横たわっていた。割引して予測すべき配置である。
同じような気圧配置は2003.05.04にも起きている。予測1,400mに対して実際は900mで精度は64%であった。予測を見て、そこから先は各自の判断というのが現時点の正直なところである。
問題が脇道にそれたが気温の予測である。基準になる気温を06:00の気温とし、それをゼロとする気温差の統計を取る。最高気温はほぼ15:00に発生し、これを100として各時刻の平均を想定する。12:00の気温は86、14:00では98になる。

     1200気温≒0600気温+(予想最高気温-0600気温)×0.86
     1400気温≒0600気温+(予想最高気温-0600気温)×0.98

予想最高気温は天気予報で報じられる熊谷の予測である。平均で1.4℃の誤差があり当然予想するサーマルトップに影響する。さらに関宿の気温とは違うから、誤差は増幅されるものと覚悟しなければならない。
露天温度は気温よりも難しいと思ったら、特異な日を除き、朝06:00の露点と±2℃ほどの変動しかしなかった。あえて誤差に目をつむれば、朝06:00の露点が終日変わらないものと仮定しても良い(オトコは度胸だ!)。
ここでも誤差が200mほど出る可能性がある。あわせれば±350mだが、これでは夢も希望もない。エイヤッで±150mと言っておこう。ともあれ

     サーマルトップ≒100×(気温 - 露点) (m)
     1200気温≒0600気温+(予想最高気温-0600気温)×0.86
     1400気温≒0600気温+(予想最高気温-0600気温)×0.98

となる。たぶん計算は面倒だから、毎土曜日と日曜日に怪鳥が出しているサーマルトップ予想を見たほうが楽だ。

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