研究室(3)インターセプト

 窓から空を見上げています。隣の家の屋根の上に丸い雲ができて、「ああ上昇気流だ」と思います。丸い雲は形を変えながら風に吹かれて流れていき、しばらくすると次の雲がぽっこりと生まれます。

ストリートあるいはスワース

南西の風です。どこかにトリガーができて、盛んにサーマルを放っているのでしょう。日差しが強くブルーの空にインデアンの狼煙のように雲が連なっていきます。
最初の雲は形が崩れ、「ああもう力がないな」と思いました。最後の雲は今生まれたばかりで威勢が良く、元気に対流しているのが分かります。雲の列は行儀良く風に乗って流れていきます。列の長さは日差しや風の強さによるのでしょう。
関宿の付近で強いサーマルを期待するのは適当ではないかもしれません。ストリートを強力なサーマルの列、それほどのものでないものをスワース(畝)と呼ぶならば、我々は関宿でスワースを探すつもりになるのがふさわしいと思います。
時計を出してきて、窓から雲が現れる時間を計りました。4分足らずで新しい雲が生まれます。意外と短いインターバルにちょっと驚きました。ものの本によるとサーマルのインターバルは簡単ではないようですから、驚くのは早いかもしれません。
目の前のサーマルは、生まれてから消えるまでをストリートと呼ぶより、空を耕す人ならスワースのほうがふさわしいでしょう。
話しによるとサーマルは「尾」を引くのだそうです。それがストリートの中に残っているのだそうです。「シッポ」の中では上昇もできませんが降下することもなく、あたかも「廊下」のようだそうです。

スワースへのインターセプト

 犬棒式(犬も歩けば棒に当たる)にサーマルを探すのは賢い方法ではありません。トリガーが分かっていて、風が読めればスワースが予測できます。もしブルーでも、サーマルが列を作っているかもしれません。
現在位置から仮想するスワースに直角にインターセプトします。ここで上空の風向は、必ずしも地上の風向と同じではないことに注意しましょう。2,000フィートぐらいまでは地形の影響を受けることを忘れずに。
まあ簡単にスワースが仮想できるとは思わないでください。多少の授業料は必要です。でもクラブの皆が知恵を持ち寄れば、意外と早くスワースが見つかるかもしれません。
ともかくスワースを仮想して、トリガーに遠いならトリガーに向かって旋回し、仮想スワースを逆航するのです。トリガーの近くなら追い風で仮想スワースを下ります。

スワースへのインターセプト

 スワースを仮想するのが上達すれば、サーマルを捉えるのはそれほど難しいことではなくなってくるでしょう。少しずれても右側か左側か、わかるようになると思います。その上でスワースを往復すれば、サーマルに当たる確率はズーッと大きくなるはずです。 たとえばです、5分のインターバルでサーマルが揚がっていたとします。10ノットの風が吹いていたなら、サーマルの間隔は5分×5m/s×60秒=1500mでしょう。トリガーまで3kmあったとすると、2個のサーマルがある可能性があり、運が悪くても1個のサーマルに当たる確率が期待できます。 理屈どおりにはいかないでしょうが、どうです、怪鳥を後席に乗せて、サーマルの狩人になってみませんか? サーマル・ハンター! カッコイイ!!

>>研究室へ戻る>>