研究室(5)GPSのサーマル・ハント

 次の図は2002年11月10日のSZD-55の軌跡です。予測したサーマルトップはアンノーン、LCL(Lifting Condensation Level)は850mでした。軌跡のトップは600mほどです。当たらずといえど近からず ?・・・

スワース

 図を眺めていると、宝珠花橋の北側にサーマル・スワースがあるのが分かります。しかもスワースはESE(東南東)に流れていますから、風はWNWだったのでしょう。ただし高度は維持するのが精一杯のようでしたから、スワースとはいうよりは「シッポ」であって、トリガーは遥か西のほうにあったと思われます。 北西(315°)の風が吹く日、いささか癪ですが、多くの場合にスワースは関宿を避け、挟むように南北にあります。できればこの意地悪なトリガーの位置を知りたい。

GPSは利器

 さて西風や北西風では何処にスワースができるのでしょう。探すとすればGPSはたいへんな利器になります。もし上昇気流があったときは、サーマリングの軌跡を解析すればスワースの位置と流れる方向が分かります。
たとえば図のスワースを辿っていくと、幸手の市街地に突き当たります。ここがサーマル・エンジンなのでしょう。関宿の南にできるスワースのサーマル・エンジンは杉戸の市街地らしく見えます。しかしトリガーの位置は分かりません。
スワースの位置が分かってもトリガーを特定するのは容易ではないでしょう。軌跡の風上側にトリガーを探すのは、シャーロック・ホームズかポワロの気分がすると思うのです。サーマル・エンジンとトリガー、そしてスワース。どうです、怪鳥を後席に乗せてサーマル・ハンターになってみませんか? 

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