飛んだ一日

このページではメインとなる飛行活動について紹介しますので、クラブでの一日の過ごし方についてイメージしてみてください。
グライダーは上空では個人競技のスポーツではありますが、安全で効率的な飛行を実現するためには多くの人手が必要であり、非常にチーム・ワークを要する部分がありますので、皆で協力して飛行を楽しみます。

飛行の活動の概要


機体の組み立て

機体の組み立て
活動日は、朝9時ごろになると、クラブ員が集まってきます。
まず、機体の入ったトレーラーや機材を滑走路の近くまで運び出し、みんなで手際よく機体を組み立てていきます。
機体は写真のように、10mくらいの細長いトレーラーに収められています。
グライダーは一般的には胴体、主翼、水平尾翼の3つの部分に分解・組み立てすることができるようになっています。
このGROBツインⅡの場合ですと、複座機でやや大きめのため、片方の主翼だけでおよそ100Kgくらいあります。
機体を組み立てる様子はこちらのビデオで見ることができますよ!

組み立て後点検

組み立て後点検
組み立てが終わったら、組み立て方や機体の構造に異常がないか、などを「チェック・リスト」に基づいて飛行に必要な安全性を確認します。これは操縦ライセンスを持つライセンサーまたは教官が行います。

場内ブリーフィング

場内ブリーフィング
組み立てが終わる10時頃になると、滑空場全体でその日の飛行に関する地上ブリーフィングが行われます。この場では当日飛行する各クラブの機体の種類や数などを発表したり、当日の天候の予報、滑走路や空域の他の機体の運航などの滑空場の状態についてアナウンスがあり、安全な運行には欠かせない情報を共有します。

機体の搬送、ライン・アップ

機体の搬送、ライン・アップ
その後に飛行開始となりますが、組み立てを終えた機体は小型の車両を使用して滑走路付近の「ショルダー」と呼ばれる駐機位置まで運びます。
一日のうちではだいたい5機くらいのグライダーが出ていることが多いですが、多いときは10機以上も出ていますので、「ショルダー」から順番に機体を出してライン・アップします。
美しいグライダーがたくさん並ぶ姿はかなり壮観です!!

飛行教官、地上支援

教官
ところで、操縦ライセンスのない練習生ははじめから一人で飛行することはできません。
練習日には飛行教官がボランティアでご指導くださっています。
また、ライセンサーの方にはやはりボランティアで機体の組み立て等のご支援をくださる方も多くいらっしゃいます。
写真のように、練習生は前の席に、飛行教官は後ろの席に乗り組んで飛行します。
最近では教官不足も解消され、練習生の練習日は月に2回程度設けており、参加者で順番に飛びますが、多い時は一日のうち1人3回以上飛ぶことができることもあります。 また、体験入会を行って新しい会員の入会につなげたり、グライダーを広く知ってもらうための活動も行っています。

曳航(えいこう)

曳航
ピュア・グライダーは滑空に最適化して進化した機体なので、離陸に必要な推進装置や発動機を装備しておらず、何らかの曳航(えいこう)が必要になります。曳航とは、ひらたく言えば「曳(ひ)いてもらう」ことです。
曳航機にグライダーをセットして適切な合図を送ると、曳航機が発進して離陸滑走が始まります。前向きに進むと揚力(ようりょく)と呼ばれる機体を浮き上がらせる力が生じてグライダーも浮き上がることができるのです。
関宿滑空場のこの形式は飛行機曳航と呼ばれるもので、飛行機に装備されたとても丈夫なロープでグライダーを接続して、上空で切り離します。あんな小さなプロペラで650Kgほどもあるものを引き上げるなんて、なんだか今でも不思議です。曳航飛行速度はおよそ100Km毎時~110Km毎時くらいで、標準的に上空2000ft(約600m)になると切り離しますが、時間にして5分くらいかかります。
曳航機は約8分前後の飛行を繰り返し行うことになります、曳航機パイロットのみなさん、いつもお疲れ様です!(夏場は冷たい水などを差し入れていたわりましょう。)

上空での過ごし方

上空での過ごし方
上空での過ごし方 上空での過ごし方
上空での過ごし方 上空での過ごし方
さて、離陸して、離脱高度に至ったら、曳航ロープを切り離します。
グライダーはその後は自由に滑空できますので、とても自由な時間を過ごすことができるでしょう。
グライダーに乗るのが初めてならば、旅客機とは全く違う、生身に近い空中感覚に感激しながらも戸惑って恐怖するかもしれません。
しかし多くの方は、すぐにグライダーが信用できる乗り物だと感じて、美しい空の景色に魅了されてしまうようです。
桜並木が見える春。水田の水が輝き、緑に覆われる夏。たなびく雲が美しい秋。地上の作物はなく、空気がしんと澄んだ冬。
季節ごとに地上とは異なる景色を楽しめるのもグライダーの醍醐味のひとつ。
エンジンがついていないので、余計な音はせず、滑らかな機体が風を切る音だけが聞こえるのがわかるでしょう。地上のモノの動きは極めてゆっくりに見えます。
天気がよければ、フライトは日没近くまで行われ、着陸操作の練習をはじめ、長いときには1時間以上、上昇気流に乗って飛んできます。

一方その頃、地上では

フライト・サービス地上
地上ではやはりいろいろとやることがあります。
ひとつには、グライダーや曳航機の運航の記録を付けることです。
また、飛行の安全について情報を無線で提供するために「フライト・サービス」という無線設備が関宿滑空場の機材によって設けられています。

自然の中で行う遊びのため、夏は極めて暑く、冬はまた厳しく寒いので、服装や体調の管理は十分な注意が必要です。
夏場は水分補給が欠かせません、クラブで用意していますので、遠慮しないで飲んでください!
真夏の待機中は、翼の下がとても良い休憩場所になりますが、これがなかなか絵になる一枚なのです。
冬は厚着で皆コロコロしてしまいますが、こんな原っぱでオシャレをしても誰も見ていません、とにかく体調がベストなのが一番です!

着陸、バック・トラック

着陸
トラック・バック
地上支援でもうひとつ重要なのは、着陸してきた機体を回収する「バック・トラック」作業です。
滑走路にグライダーを置いたままにしておくと、その滑走路を後続の機体が使用できないので、速やかに回収します。
グライダーは自走できないので、回収する必要があるのです。
バック・トラック作業は搬送に使用する小型の車両で行うのが一般的ですが、距離が短い場合は手押しで対応することもできます。
バック・トラック

帰投

帰投
昼頃飛び立った機体が帰ってきたようです。
ライセンスのある人は、ほかに交代する人がいなければ、夕方まで帰って来ない事がよくあります。
時々、帰れなくなり、ほかの滑空場で降りてしまっていることもあります。

撤収作業

撤収作業
飛行が終わったら、機体を片づけます。これには基本的には組み立て時と同等の人手が必要になります。
飛行した機体は汚れがあるので、次回に備えてふき取りなどの清掃を行います。
機体がきれいになったら、トレーラーに元通り収めなおします。
また、一日中離発着している曳航機は泥だらけに汚れてしまうこともありますので、そちらの支援も欠かせません。

会計、ログ整理

機体や機材の片付けが済んだら、料金の支払いや、飛行に関するログ・ブックの整理・記入などを行ってその日は解散となります。
お疲れ様でした!